2024年度理事長
山添 友徳
磨穿鉄硯
~進化を追求し、地域のリーダーへ~
【磨穿鉄硯】
強い意志をもち続け、物事を達成するまで変えないこと。
また、学問にたゆまず励むたとえ。
鉄でできている硯をすり減らして、穴をあけるほど勉強するという意
はじめに
昨年度、天理青年会議所は50 年間、諸先輩方が紡いでいただいた想いを受け取り、沢山の方のご協力の下、社会課題に向き合った記念事業を構築し、厳粛な式典を執り行い、盛大な祝宴を飾り、天理青年会議所の50年の歩みを形にする運動が出来ました。また、同時に我々は活動を通して強い想いを形にする力も得ることが出来ました。これからも5年、10年、そして100周年へと続く青年会議所を目指すためにも第一歩の新たな1年間、得た力を活動へと活かし、地域と向き合い明るい豊かな社会を目指し運動を起こしていきます。
『人生において、「成功」は約束されていない。しかし、「成長」は約束されている』という言葉があります。努力をしても成功しないことはあるけれども、努力すれば成長は約束される。私は、2017年1月に入会してから多くの成長の機会を頂きました。全てが順風満帆だったわけではなく、うまく行かない事もありましたが、強い意志を持ち続け学ぶことを忘れず、進化を追求した1年1年のJC活動は、私に大きな成長を与えてくれ、本気で向き合う価値がある団体だと強く想っています。
2019年日本青年会議所がSDGs推進宣言を採択し、2020年JC宣言文が改訂されました。現代の「明るい豊かな社会」が「多様性」と「持続可能性」と定義され、「人間の個性はこの世の至宝である」と信じる青年会議所は、違いに対して対立するのではなく、個性として尊ばれるべきであり、多様性が求められています。
持続可能性とは人口減少や財政、環境を持続可能なものとするに留まらず、地域に住まう人々が笑顔で生きがいをもち、挑戦し続ける社会を意味します。青年会議所が様々な地域課題を解決することで、地域を持続可能なものとし、そしてその総和によって「明るい豊かな社会」を創ることです。
我々の活動の根源は創立時から変わらず、変化する社会課題と向き合い解決する運動を起こしてきました。宣言文の内容は変わりましたが、いつの時代も目指すゴールは同じであり「明るい豊かな社会」です。変化する社会課題に向き合い解決する運動を起こすためにも、我々は、強い志を持って多様性と持続可能性を追求する必要があります。
多様性と持続可能性
私は27歳の時、飲食業で独立をしました。初めてお会いする方を沢山接客させていただきましたが、人を知ることをせず先入観を抱くことが多々ありました。時間を共有し、相手を知ることでイメージが変わり、先入観で人を判断してはいけないと学びました。
皆さんも先入観で人を判断してしまった経験はないでしょうか。個性を尊重し、多様性を受け入れるには人の良さ、強さを知る必要があります。そして運動を起こすためには、まず活動に注力する必要があります。その活動の中で、我々一人一人がメンバーの良さを知り、強みを知り、個性を尊重し合えるJAYCEEになることで、あらゆる若者が挑戦できる多様性を持った青年会議所になると考えます。
また、SNSの普及やAIの発展した今の時代を先駆けるためには、新しい発想や意見が必要です。多様性を受け入れ、我々が柔軟になることで魅力ある青年会議所になるのではないでしょうか。
私は、持続可能性と聞くと、思い浮かぶのはSDGsをイメージします。日本青年会議所でもSDGs推進宣言が採択され、それ以降、多くの青年会議所でSDGsの推進が行われています。
我々も、子ども達がボール遊びをする場所が限られている環境にあることから、地域課題解決の契機として「なかよしキッズボールパーク」を造成し、「SDGs目標 11. 住み続ける街づくりを」に繋がる、子ども達が住みやすい環境を整備する持続可能性へと繋がる事業を実施しました。さらに、この事業の継続は大きな可能性を秘めており、継続事業として取り組むことにより、変化を生み新たな発見、そして進化をすると私は信じています。
また、青年会議所の持続に注力する必要があります。会員数の減少は毎年のように課題として挙げられ、年度ごとに様々な取り組みが実施されてきました。私は会員の勧誘は大事であると思うのと同時に、受け入れ体制も大事であると考えます。我々メンバーが多様性を受け入れることにより、あらゆる若者が挑戦できる魅力ある青年会議所になり、新しい発想や意見を受け入れることでニーズにあった社会課題に向き合える可能性が広がっていきます。人を笑顔にするためには、信頼と共感が必要であり、共感を得るためにはニーズを理解する必要があります。多様性を受け入れることは、持続可能性を引き出す一手であり、多様性と持続可能性を両輪で回していくことで、地域に信頼される青年会議所になると信じています。
信頼と共感
私は地域にとって信頼できる青年会議所がニーズに応え、多様性を受け入れた運動を起こし情報を発信することで、地域に共感を生み出すと考えています。
皆さんは社業において新たな事業を展開する際に、どのような人物に任せますか。「信頼」できる人ではないでしょうか。信頼とは人の未来の行動を期待する行為や、相手を信じる感情のことを指し、人柄や考え方、立ち振る舞いに重きを置いた評価が信頼だと言えます。
我々、青年会議所は地域にとって真の意味で信頼できる団体でしょうか。メンバー間で信頼できるメンバーはどれだけいるのでしょうか。私も含めて、各々が自問自答してほしいと願います。例えば出欠の連絡、議案の上程期日の順守、日々の細かいところで我々はないがしろにしているところはないでしょうか。限りある時間の中で活動していると難しいケースもあると思いますが、その積み重ねが個々の信頼に繋がり、信頼し合った個々の集まりによって未来の行動を期待する青年会議所になると考えています。
小さなことからコツコツと信頼を得て、共感を生み、共感を経て運動を起こすことで地域に信頼される団体に繋がります。
社会課題への向き合い方
「社会課題に向き合い、解決する運動を起こす」と青年会議所ではよく耳にしますがどのように社会課題を考えるべきか、私の考えは大きく分けて2種類あります。
「大きな社会課題」…地域の住民も知っている地域の課題
「小さな社会課題」…これから大きな課題になるであろう、肌で感じる身近な課題
青年会議所は、単年度制を採用し毎年組織が変わり、理事長の指針により目指すべき活動が変わる団体です。1年間で少子高齢化や空き家問題など大きな社会課題に取り組み成果を上げるには時間が足りず、実施していくためには継続事業としての視点を持ち運動する必要があります。
小さな社会課題は、皆さんの生活する中で、肌で感じているのではないでしょうか。仕事、プライベートで「もっとこうなればいいのに」と思うことです。これから大きな課題になるであろうと大袈裟に言いましたが、先見の明をもって社会課題を見つけるということではなく、アンテナを張っておくということが大事だと私は考えています。生活シーンは人それぞれ違い、収集する情報も様々です。ですが、そこにニーズがあるのであれば、その課題に向き合い我々は運動を起こしていく必要があります。ニーズは委員会や事業への参加など積極的な活動をしていると理解し見つけることが出来ます。ニーズある小さな課題こそが、地域の青年会議所として向き合う課題ではないでしょうか。
青年会議所の可能性
我々、青年会議所はメンバーの業種がそれぞれに違うことや、各々に個性を持ち合わしていること、既に多様性を受け入れている一面を有しています。それは、社会課題の解決に有利なポテンシャルを持ち合わしているということです。
コロナ禍において、ハイブリット方式での会議が当たり前になり、事業活動の制限も大きく影響しましたが手法の幅が大きくなり、活動に対して多くの可能性を広げることが出来ました。
青年会議所は、会員が相集い、相互の啓発と社会への奉仕を通じて、経済社会を学び、地域経済の発展に寄与する団体です。だからこそ、時代の急激な変化とともに、変わりゆく明るい豊かな社会の実現の姿を定義し、コロナ禍においてもその歩みを止めることなくリーダーを育成し、ピンチをチャンスと捉えて変化を起こし続けてきました。社会課題への向き合い方を今一度見直し、多種多様な手法を用いることで未来へ向けて進むことが出来ます。
目指すべき未来
青年会議所は、自由な社会と経済発展を実現し、新しい社会をリードするにふさわしい人材育成を目的としています。LOM内でも様々な活動があり、そして、その中に役職や立場があり、沢山の経験をさせて頂き、成長をすることができます。成長は運動を起こしたからするものではなく、それまでの委員会や様々な事業に参加する「JC活動」から生まれるものであり、「JC運動」は、「JC活動」の結果であると私は強く思っています。「JC活動」を追求し、「JC運動」を起こすことで成長できるのです。
また、LOM内で振り分けた委員会の各々の職務は、追求することで社会やビジネスの発展に大きく寄与します。さらに、ブロック協議会や地区協議会、日本と連携を図ることで、それらの発展は更なる発展に繋がり、リーダーを育成することができ青年会議所のブランディングに繋がります。我々は、地域に信頼される団体を目指すと同時に、我々の運動に誇りを持てる青年会議所を目指します。
追求すべき方向性
私は、数多くある団体の中で、我々の活動がリーダーを育成する団体として、その中でも特に意識高くあるべきだと強く願っています。その意識が、想いの強い運動に変わり、誇りになると信じているからです。
意識の向上は、自身のエネルギーからなるものであり、また会員が相集い、相互の啓発により、そのエネルギーを引き出します。
相互の啓発とは、メンバー同士の日常会話から生まれるものではなく、「志を同じうする者、相集い、力を合わせ」取り組むからこそ成しえるもので、委員会活動や会議、例会、対外事業などの「JC活動」がそれを指します。
私は、全てのメンバーが積極的に考え、遠慮せずにその事柄に向き合い発言すること、また意見をもらったものは意見を尊重し真摯に対応することで、メンバーが当事者意識をもち、青年会議所の意識向上に繋がると考えます。
各職務において、強く願うことがあります。生活シーンにおいて、アンテナを張ることが大事であり、ニーズがあるのであればその課題を解決していくと述べさせていただきました。アンテナを張ることは個々の意識であり、ニーズの追及こそが青年会議所の方向性だと考えています。自己満足で終わるのではなく、実施する活動や、運動が誰のため、何のためをしっかりと見据えて行動し、結果を出すことが大事です。
失敗から学ぶことはたくさんありますが、ビジネスにおいて失敗を前提に事業は誰も進めません。青年会議所も同じであり、ニーズを追求し各職務においてスペシャリストを目指すべきであり、活動した先に成長があります。
- 我々が発信する情報は、見てほしいターゲットに見てもらえるのでしょうか。
- 我々が行う青少年事業は、本当に子ども達に明るい未来を見せるのでしょうか。
- 我々の交流事業は、今後の事業活動の一助となるのでしょうか。
沢山の疑問を持ち、沢山委員会をしてください。沢山の事業に参加して沢山経験してください。沢山のあなたの活動は大きな運動へと変わります。
我々は地域に信頼される団体であるために、ニーズを追求し進化する必要があります。
時代に流されるのではなく、地域を牽引するリーダーとして。
『本気で向き合った、1年後 成長は約束されています。』
結びに
昨年度、半世紀の記念事業として多くの諸先輩方のご支援の下、また地域の企業様、行政の皆様のご協力の下、なかよしキッズボールパークを造成し、地域のこども達の「遊び」の可能性を広げて笑顔を作れる運動を起こすことが出来ました。我々は、この運動を多様性と持続可能性の考えの基、さらに発展させていき地域に必要とされ信頼される運動にすること、同時に運動を通し多様性と持続可能性を追求する機会にすることで感謝を表して参ります。
2024年度事業指針
- 信頼を高める資質向上事業の実施
- 多様性を受け入れた会員拡大
- なかよしキッズボールパークを活用した事業の実施
- 青少年育成事業の実施
- 大学生と連携を図った事業の実施
- 会員相互の啓発と交流事業の実施
- 近畿地区大会副主幹LOMとしての主幹協力
- 日本青年会議所、近畿地区協議会、奈良ブロック協議会への積極的な参画・協力